第32回 症例編　〜その11　腰部手術後の治療 〜

　腰部椎間ヘルニアや脊柱管狭窄症など、腰部の手術をおこなった人は結構いらっしゃるのではないかと思います。術後、リハビリを頑張られたことでしょう。もし、不具合が残った場合、鍼灸治療も効果があります。患部の血流を改善させるだけでなく、足の血流も改善し、リハビリによる疲労を取り除いたり、傷ついた組織の回復を促進したりすることができます。
　 以下に、鍼灸治療で術後の不具合が改善した症例をご紹介します。

症例2 80代　男性

職業：農業
病歴：１年前から左腰がひどく痛くなり、しだいに左足がしびれて感覚がおかしくなった。医師から「腰の骨と骨の間の神経が出るところの掃除をしなければしびれは治らない」と言われ手術を受けた。リハビリも受けたがあまり良くならず、医師からは「しびれは３ヶ月すれば取れる」と説明を受けた。筋力が落ち、歩行がおぼつかないため来院。
治療：
１回目
　 �@全身調整
　 �Aパルス（電気鍼）　うつ伏せ　10分
　 〈治療点〉　（左）腎兪・大腸兪・膀胱兪・肓門・志室・承扶・風市・委中・陽陵泉・承山・崑崙
　 �B温熱療法　　腰部　７分
　 �Cお灸　湧泉
※ほぼ毎日治療。はじめ、うつ伏せがきついと言うことで、姿勢を側臥位にして治療したり、股関節の不具合を訴える時は股関節の治療も加えて、その時の状態に合わせて治療をおこなった。手術創（傷）が赤黒く盛り上がっていたが、２ヶ月ほどで肌色のきれいな傷になった。その頃から足のしびれも消失しはじめ、歩行しやすくなった。現在も経過観察しながら治療継続中。

　もし、悩んでいる方がいらっしゃいましたら、お近くの鍼灸師にご相談してみてください。お力になれると思います。

　次回は「自律神経の不調」の症例をご紹介します。