岩下登の健康のツボ 〜疲労回復や健康維持に役立つ方法〜
 

第14回 症状とツボ 〜その13 口・のどの症状〜

みなさん、こんにちは。岩下です。
彼岸を過ぎ、めっきり秋らしくなった今日この頃、みなさまはいかがお過ごしでしょうか?朝晩はかなり冷え込んでいますが、昼間はまだ暑く、諫早神社の木ではツクツクボウシが鳴いていました。短い命を全うしようと頑張っている鳴き声を聞いて、感慨深くなりました。今年はいろいろな災害が続き、まだ何が起こるかわかりませんが、平穏に生活できることに感謝して過ごしていきたいものですね。

 今回は前回ご紹介する予定でした『口・のどの症状』をご紹介します。
 口の症状として一番多いのは「歯痛」でしょう。歯が痛む時はすぐに歯医者さんへ行くことをお勧めしますが、応急処置的にツボを刺激することはできます。すぐに歯医者さんへ行くことができない時のためにご紹介しましょう。
 そして、もう一つ、「顎関節症」もここで紹介します。顎関節症は鍼灸治療がとても有効です。
 のどは「腫れる」「痛む」「違和感がある」「飲み込みが悪い」など多様な症状があります。炎症性のものは速やかにお医者さんに診ていただく方が良いと思いますが、「薬を飲むまでもない症状」の場合、もしくは日常的に症状が出やすい場合はツボを活用していただければ良いのではないかと思います。

〜 ツ ボ の 押 し 方 ( 全 ツ ボ 共 通 ) 〜
 押す力の強さは「気持ちがいいと思える強さ」にします。強弱は好みがあると思いますが、強ければよいというものではありません。部位によって使用する指を記載しています。押しやすさと指による力加減を考慮しています(力の強さ…親指>人差し指>中指>薬指)。
  すべてツボは、ゆっくり息を吐きながら5秒ほど押し、息をゆっくり吸いながら5秒ほどかけて指の力を抜いてください。これを一ヶ所5〜10回を目安に繰り返してください。体調によって回数を加減した方がよいでしょう。リラックスして押してくださいね。
 ※ツボは、「反応点(症状が現れる点)」でもあり、治療点でもあります。触っただけでも痛みを感じる場合は、「実証」と言い、不必要な気・血・水が滞っている状態で、このような場合はさするだけで十分です。痛みをこらえて押すと逆効果です。逆に、押して気持ちがいい場合は「虚証」であることがおおく、これは必要な気・血・水が不足している状態と考えられます。この場合は、上記のツボの押し方を実践してください。

上歯痛

●復溜(ふくりゅう)  
ツボの取り方:足の内くるぶしとアキレス腱の間のくぼみからアキレス腱と平行に、指3本分上に取ります。
押す指:人差し指
復溜
 
足三里(あしさんり)
第4回「膝痛」参照。
 
 

下歯痛

●温溜(おんりゅう)  

ツボの取り方:手首の手のひら側にできる横線の外側端(親指側)と肘の内側にできる横線の外側端を結んだ直線の中点に取ります。
押す指:反対の親指

温溜

●合谷(ごうこく)  
ツボの取り方:手の甲で、親指と人差し指の骨の付け根が交わるところに取ります。
押す指:反対側の親指(人差し指の骨に向けて押す)
合谷

 

顎関節症

●頬車(きょうしゃ)
ツボの取り方:耳たぶの先端と、あごの骨の角(いわゆる「えら」のあたり)の中間点に取ります。
押す指:中指
頬車
 
●下関(げかん)
ツボの取り方:ほほ骨のてっぺんから指2本後ろ(耳の方)で、ほほ骨の下の際に取ります。
押す指:中指
下関
 
●客主人(きゃくしゅじん)
ツボの取り方:ほほ骨のてっぺんから指2本後ろ(耳の方)で、ほほ骨の上の際に取ります。
押す指:中指
 

のどの症状

●尺沢(しゃくたく)
ツボの取り方:肘を曲げた時、肘の内側のまん中にスジがはっきり触れます。その外側(親指側)にできるくぼみに取ります。
押す指:反対の人差し指
尺沢
 
●関衝(かんしょう)
ツボの取り方:手の薬指小指側の爪根部(爪の根元)あたりに取ります。
押す指:反対の人差し指の爪先(伸びていない爪で軽く押す)
※親指と人差し指で薬指の爪の根元をつまんでもよい。
関衝
 
足三里(あしさんり)
第4回「膝痛」参照。
 
   

朝晩と昼間の温度差が大きく、頭で考えている以上に体は疲れています。寝ている間に体が冷えて、風邪をひいたり、首や腰を痛めたり、こむら返りを起こしたりしやすい時期です。今回、のどの症状のツボをご紹介しましたが、これもふまえて、のど(首)・手(肘から先)・足(ふくらはぎ)を冷やさないようにすることが、先ほどあげた症状の予防になります。いつもより少し気をつけて、秋を元気に過ごしてください。
次回は『呼吸器の症状』のツボをご紹介します。


岩下 登 (岩下鍼灸院 院長)
著者

岩下鍼灸院 院長
岩下 登

Noboru Iwashita


MENU
【第29回】症例編
その8 心の症状
【第28回】症例編
その7 バネ指
【第27回】症例編
その6 むくみ
【第26回】症例編
その5 関節水腫
【第25回】症例編
その4 喘息
【第24回】症例編
その3 五十肩
【第23回】症例編
その2 耳鳴り
【第22回】症例編
その1 ぎっくり腰
【第21回】症状とツボ
その20 坐骨神経痛
【第20回】症状とツボ
その19 頸椎症
【第19回】症状とツボ
その18 小児の症状(2)
【第18回】症状とツボ
その17 小児の症状(1)
【第17回】症状とツボ
その16 精神的な症状
【第16回】症状とツボ
その15 泌尿器の症状
【第15回】症状とツボ
その14 呼吸器の症状
【第14回】症状とツボ
その13 口・のどの症状
【第13回】症状とツボ
その12 自律神経症状
【第12回】症状とツボ
その11 耳・鼻の症状
【第11回】症状とツボ
その10 女性特有の症状
【第10回】症状とツボ
その9 五十肩・テニス肘
【第9回】症状とツボ
その8 手足の症状
【第8回】症状とツボ
その7 消化器症状
【第7回】症状とツボ
その6 冷え性
【第6回】症状とツボ
その5 便秘
【第5回】症状とツボ
その4 膝痛
【第4回】症状とツボ
その3 腰痛症
【第3回】症状とツボ
その2 頭痛・頭重感
【第2回】症状とツボ
その1 眼精疲労 肩こり
【第1回】鍼灸について

いさはやWEB情報室の見方・楽しみ方
▲ページTOP

Copyright(c) Isahaya the chamber of commerce and industry. All rights reserved.
サイト内の画像・文章等の無断転載・複製を禁止します。