〜 ツ ボ の 押 し 方 ( 全 ツ ボ 共 通 ) 〜
押す力の強さは「気持ちがいいと思える強さ」にします。強弱は好みがあると思いますが、強ければよいというものではありません。部位によって使用する指を記載しています。押しやすさと指による力加減を考慮しています(力の強さ…親指>人差し指>中指>薬指)。
すべてツボは、ゆっくり息を吐きながら5秒ほど押し、息をゆっくり吸いながら5秒ほどかけて指の力を抜いてください。これを一ヶ所5〜10回を目安に繰り返してください。体調によって回数を加減した方がよいでしょう。リラックスして押してくださいね。
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※ツボは、「反応点(症状が現れる点)」でもあり、治療点でもあります。触っただけでも痛みを感じる場合は、「実証」と言い、不必要な気・血・水が滞っている状態で、このような場合はさするだけで十分です。痛みをこらえて押すと逆効果です。逆に、押して気持ちがいい場合は「虚証」であることがおおく、これは必要な気・血・水が不足している状態と考えられます。この場合は、上記のツボの押し方を実践してください。
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腰痛症 〔急性の腰痛と慢性の腰痛の違い〕
急性の腰痛は、いわゆる「ぎっくり腰」です。「朝、起き上がろうとした時」「荷物を持ち上げようとした時」など、何か動作を始めようとした時に痛めることが特徴です。あまりにも痛みが強いことから、別名「魔女の一撃」とも言われます。発症時、動けないことがほとんどです。対処法としては、安静・アイシングが最優先です。袋に氷を入れ、タオルに包んで痛めた部分を冷やして下さい。腰椎や筋膜(筋肉を包む膜)が炎症を起こしていることが、痛みの原因なので、発症直後から3日間ほどは絶対揉んだり叩いたりしないで下さい。症状の悪化につながります。
一方、慢性の腰痛は、慢性的な筋肉の疲労の蓄積が原因です。「何となく腰が痛い」「腰が重い」「押したり叩いたりすると気持ちが良い」などというのが特徴です。対処法は、温めることが一番です。よく冷湿布を貼る方がいらっしゃいますが、筋肉の血流を悪くするので、「お風呂に入って気持ちが良い・腰痛が軽くなる」という方には、冷湿布はあまりお勧めしません。血流を高める半身浴・ストレッチはお勧めです。
急性・慢性問わず、気をつけていただきたいのは、ふくらはぎを冷やさないようにすることです。ふくらはぎと腰は密接に関係しています。これからの季節、冷房がきいた部屋にいることも多くなります。特に女性は制服などでスカートを着用し、ふくらはぎが露出することが多いので、可能であれば膝掛けなどで保温することが予防になります。また、睡眠時は長ズボンを履くことをお勧めします。
上記のことをふまえ、腰痛のツボをご紹介します。急性の腰痛の場合はさするようにして、決して強く押したりしないでください。慢性的な腰痛はこれまでのツボの押し方を参照ください。
※ 今回、ツボを取るための基準点を第4腰椎とします。
第4腰椎=直立し、左右の腰骨の一番高い部分に人差し指を置き、後ろにまっすぐ親指を伸ばしたとき、背骨で親指があたるところ。
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●大腸兪(だいちょうゆ) |
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ツボの取り方:第4腰椎の直下(第4腰椎とその下の第5腰椎の間)から指2本分外側に取ります。背骨に添ってある筋(脊柱起立筋と言います)の丸みのほぼてっぺんになります。 |
押す指 : 親指 |
●腎兪(じんゆ) |
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ツボの取り方:第4腰椎より骨2つ上が第2腰椎となります。その直下(第2腰椎と第3腰椎の間)から指2本分外側に取ります。このツボも脊柱起立筋の丸みのてっぺんにあります。 |
押す指 : 親指 |
●志室(ししつ) |
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ツボの取り方:上記腎兪から指2本分外側に取ります。脊柱起立筋の外縁にあたる部分です。 |
押す指 : 親指 |
●小野寺臀点(おのでらでんてん) |
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ツボの取り方:左右の腰骨の前端のてっぺんに人差し指を置き、親指をお尻の方に置きます(人差し指と親指はほぼ同じ高さ)。その周辺で押して痛む(または気持ちがいい)ところです。 |
押す指 : 親指 |
●合陽(ごうよう) |
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ツボの取り方:膝を曲げた状態でできる溝のまん中から指3本分下のところに取ります。 |
押す指 : 人差し指・中指 |
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腰痛を感じていらっしゃる方は多いと思います。仕事の休憩時にでもツボを押して腰痛予防にも活用してください。予防に活かせるのもツボのいいところです。
次回は『膝痛』です。 |
岩下 登 (岩下鍼灸院 院長) |