岩下登の健康のツボ 〜疲労回復や健康維持に役立つ方法〜
 

第17回 症状とツボ 〜その16 精神的な症状〜

 みなさん、こんにちは。岩下です。
 いつまでも寒かった今冬、やっと桜の開花宣言がなされ、春に向かい始めた今日この頃、みなさんはいかがお過ごしでしょうか?
 東京の方では花粉の飛散量が少ないとのことですが、長崎では多かったようです。花粉症の方は大変だとお察し致します。我が鍼灸院のスタッフも花粉症デビューした者がいて、大変そうです。休養を充分にとって、元気に春を楽しんでくださいね。

 精神的な症状としてあげられるのが、「不安」「焦燥感(あせり)」「イライラ」「無気力」などです。毎日の生活の中で誰もが感じることがあることです。多くは何らかの手段で気持ちを切り替え、生活に支障をきたさないようにしているものです。しかし、大きな出来事(大切な人の病気や事故・死別、受験や就職活動がうまくいかない、職場での人間関係など)が誘因となり、上記の症状が強く・長くおこることがあります。また、季節の変わり目やホルモンバランスの乱れなどにより、普段できている気分転換や気持ちの切り替えがうまくできずに悩んでしまう方もいらっしゃると思います。
 まずは、どのようなことがストレスかを知ってください。その上で、どんなことが不安なのか・イライラするのかなど、紙に書き出したり、心許せる人に話してみてください。このような状態の時は決して「頑張らない」ことです。このような症状が出てきている時は頑張り過ぎていることが多く、体がストップをかけている、いわば体からのサインです。それ以上頑張ると、「眠れない」「食べられない」「仕事ができない」「集中できない」「悲しくもないのに涙が出る」などの症状へ進み、お薬が必要となることになります。
 気付いた段階で、リラックスしましょう。たくさんのリラックス法が紹介されています。ご自分に合う方法をやりましょう。また、身近な方で、“最近おかしいな”と感じる方がいらっしゃったら、声をかけてあげてください。
 鍼灸師の立場から、今回はツボ押しと呼吸法、お灸をご紹介します。

〜 ツ ボ の 押 し 方 ( 全 ツ ボ 共 通 ) 〜
 押す力の強さは「気持ちがいいと思える強さ」にします。強弱は好みがあると思いますが、強ければよいというものではありません。部位によって使用する指を記載しています。押しやすさと指による力加減を考慮しています(力の強さ…親指>人差し指>中指>薬指)。
  すべてツボは、ゆっくり息を吐きながら5秒ほど押し、息をゆっくり吸いながら5秒ほどかけて指の力を抜いてください。これを一ヶ所5〜10回を目安に繰り返してください。体調によって回数を加減した方がよいでしょう。リラックスして押してくださいね。
 ※ツボは、「反応点(症状が現れる点)」でもあり、治療点でもあります。触っただけでも痛みを感じる場合は、「実証」と言い、不必要な気・血・水が滞っている状態で、このような場合はさするだけで十分です。痛みをこらえて押すと逆効果です。逆に、押して気持ちがいい場合は「虚証」であることがおおく、これは必要な気・血・水が不足している状態と考えられます。この場合は、上記のツボの押し方を実践してください。
●百会(ひゃくえ)  

ツボの取り方:左右の耳介(軟骨の部分)を前に折り、できたてっぺんに左右の親指を置き、それぞれの中指を頭頂部に置きます。中指の指先が当たるところ(真ん中)に取ります。
押す指:どちらかの中指

百会
 
あ門(あもん)
ツボの取り方:うなじの中央にあるくぼみのまん中。
押す指:親指
あ門
 
●だん中(だんちゅう)  

ツボの取り方:左右の乳頭のまん中で、胸のまん中にある骨の上に取ります。第4肋骨と同じ高さになります。
押す指:中指

だん中

●気海(きかい)  
ツボの取り方:おへそから指2本分下に取ります。
押す指:中指
気海

 

●膏肓(こうこう)
ツボの取り方:第4・5胸椎間から指4本分外に取ります。肩甲骨の内側縁の近くになります。
※頭をやや前に曲げ、肩を固定して首を左右に動かすと、これに伴って動く突起が頚椎、動かない突起が胸椎です。第4・5胸椎間とは、動かない突起の4番目と5番目の間となります。
押す指:親指(人に押してもらう)
膏肓
 
●労宮(ろうきゅう)
ツボの取り方:手のひらの中央で、指を曲げた時、中指の頭があたる部分に取ります。
押す指:反対の親指
労宮
 
●内関(ないかん)  
ツボの取り方:手首(手のひら側)にある横線のまん中から指3本分上に取ります。
押す指:反対の人差し指
内関
 
●公孫(こうそん)  
ツボの取り方:足の内側で、親指の付け根にある突起から骨に沿って足首の方へ指をなでていくと、指が止まるところに取ります。
押す指:親指
※内関穴と公孫穴はコンビで活用することをお勧めします。
公孫
 
●湧泉(ゆうせん)  
ツボの取り方:足の裏で、足の指を曲げたとき、中指の付け根から指2本分のところにできるくぼみに取ります。
押す指:親指
湧泉
 
 

 今回ご紹介したツボは、前回までにご紹介したことがあるツボばかりです。押して気持ちが良いツボをいくつかチョイスして、「ツボの押し方」でも説明しているようにゆっくり呼吸しながら押してみてください。回数はその時々で変更してもかまいません。その時の体調に合わせましょう。「気持ちいい」が重要なポイントです。また、ゆっくり呼吸しながらツボを押す時、ゆっくり体を揺らすのも、リラックス効果をあげますよ。
 お灸は、労宮穴・湧泉穴などに、せんねん灸のような台座がついたお灸をしてみてください。もぐさに含まれる成分(チオネール)は気持ちを落ち着ける効果があります。お灸の香りをゆっくり嗅いでください。体の中にも取り込むことができますよ。一箇所に一個、朝・昼・晩(もしくは朝・晩)おこなってください。同時に同じ場所に何個もするとやけどすることがあります。継続することが大事なので、やり過ぎないでくださいね。

 次回は「小児に有効なツボ」をご紹介します。


岩下 登 (岩下鍼灸院 院長)
著者

岩下鍼灸院 院長
岩下 登

Noboru Iwashita


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