岩下登の健康のツボ 〜疲労回復や健康維持に役立つ方法〜
 

第11回 症状とツボ 〜その10 女性特有の症状〜

こんにちは。岩下です。ゴールデンウィークも終わり、あっという間に梅雨の季節。今年はいつもと違って肌寒く感じることが多いですね。朝晩と昼間の温度差があり、風邪をひいている方もいらっしゃるかもしれません。体調管理が難しい時期ですが、これまでご紹介したツボを使って乗り切ってくださいね。

今回は、悩んでいる人が多いといわれる「月経痛」と「更年期障害」をご紹介します。
  月経痛とは、ご存じの通り、月経開始前後に出血に伴って腹部や腰部が痛むことを言います。最近注目されるようになってきた「月経前症候群」に対してもツボは有効です。月経痛が起こる原因がはっきりしているもの(子宮筋腫・子宮内膜症など)がある場合は、その治療が必要ですが、その治療と併せてツボを押したり温めたりすると、より効果的です。
  更年期障害とは、簡潔に言うと、閉経前後に見られる精神的・身体的諸症状で、女性ホルモンの減少により起こるとされています。精神的症状としては、不安・イライラ・落ち着かない・やる気が出ないなどです。身体的症状としては、肩こり・頭痛・頭重感・動悸・めまい・不眠・冷えやほてりなどです。病院で検査をしても何も異常が見られず、この診断を受けることが多い様です。
  月経痛にしても更年期障害にしても、大事なポイントは『体を冷やさない』ということです。「お風呂に入って楽になった」「カイロを当てて痛みが止まった」など、経験された方も多いはずです。冬場は意識して温められるのですが、これから夏場を迎えると、どこに行っても冷房が入っていて、しかも薄着で足を露出して冷えやすい条件が揃っています。足が冷えると腰も冷えやすくなります。夏場でも半身浴をする、腹巻きをするなどしていただきたいのですが、無理な方は、長ズボンをはく、ハイソックスをはく、膝掛けをするなどで足を冷やさないように工夫してください。

〜 ツ ボ の 押 し 方 ( 全 ツ ボ 共 通 ) 〜
 押す力の強さは「気持ちがいいと思える強さ」にします。強弱は好みがあると思いますが、強ければよいというものではありません。部位によって使用する指を記載しています。押しやすさと指による力加減を考慮しています(力の強さ…親指>人差し指>中指>薬指)。
  すべてツボは、ゆっくり息を吐きながら5秒ほど押し、息をゆっくり吸いながら5秒ほどかけて指の力を抜いてください。これを一ヶ所5〜10回を目安に繰り返してください。体調によって回数を加減した方がよいでしょう。リラックスして押してくださいね。
※ツボは、「反応点(症状が現れる点)」でもあり、治療点でもあります。触っただけでも痛みを感じる場合は、「実証」と言い、不必要な気・血・水が滞っている状態で、このような場合はさするだけで十分です。痛みをこらえて押すと逆効果です。逆に、押して気持ちがいい場合は「虚証」であることがおおく、これは必要な気・血・水が不足している状態と考えられます。この場合は、上記のツボの押し方を実践してください。

月経痛

※急性の症状(急に腫れた・熱感がある・急に激しい痛みが出たなど)が見られた場合は強く押したり動かしたりしないでください。痛む部分の安静と冷却が必要です。痛みが出始めて3日から1週間くらい経過したら慢性期に入ったと判断していいので、温めたり動かしたりしてください。冷やすのはお勧めできません。
●三陰交(さんいんこう) 三陰交
ツボの取り方:足の内くるぶしのてっぺんから指4本分上で、骨のきわに取ります。
押す指:反対の中指

●血海(けっかい)

血海
ツボの取り方…膝を軽く曲げ、膝蓋骨(俗に膝のお皿という逆三角形の骨)を確認します。上内角を探し、その角から指3本分上に取ります。
押す指…親指or人差し指

※三陰交は「女性ホルモンのツボ」と言われるくらいとても大切なツボです。血海は「血の道の病のツボ」と言われています。この二つは、月経痛の治療で最も重要なツボなので、以前紹介したことがありますが、あえて詳細に記載しました。

●大巨(だいこ)
 

第6回『便秘』参照

 

●腎兪(じんゆ)
 
第4回『腰痛症』参照
※その他、お尻にある逆三角形の平らな骨の部分には複数のツボがあり、ここを温めると足も温まります。握り拳で軽くトントンと叩いたり、さすったりするのも良いでしょう。

更年期障害

●あ門(あもん)  
ツボの取り方…うなじの中央にあるくぼみのまん中。

押す指…親指


●だん中(だんちゅう)

だん中
ツボの取り方…左右の乳頭のまん中で、胸のまん中にある骨の上に取ります。第4肋骨と同じ高さになります。
押す指…中指

●気海(きかい)

気海
ツボの取り方…おへそから指2本分下に取ります。
押す指…中指

●膏肓(こうこう)
膏肓
ツボの取り方…第4・5胸椎間から指4本分外に取ります。肩甲骨の内側縁の近くになります。
※頭をやや前に曲げ、肩を固定して首を左右に動かすと、これに伴って動く突起が頚椎、動かない突起が胸椎です。第4・5胸椎間とは、動かない突起の4番目と5番目の間となります。
押す指…親指(人に押してもらう)

●百会(ひゃくえ)
 
第3回『頭痛・頭重感』参照  

●湧泉(ゆうせん)
 
第9回『手足の症状』参照
※三陰交も治療点です。また、これまで第1〜9回までにご紹介したツボも症状により組み合わせると良いでしょう。


  当鍼灸院にも患者さんが来院され、良くなられている方も多数いらっしゃいます。従業員の中にも鍼灸治療をしながら元気に働いている人もいます。悩んでいる方は試してみても良いと思います。
  次回は『耳・鼻の症状』をご紹介します。


岩下 登 (岩下鍼灸院 院長)
著者

岩下鍼灸院 院長
岩下 登

Noboru Iwashita


MENU
【第29回】症例編
その8 心の症状
【第28回】症例編
その7 バネ指
【第27回】症例編
その6 むくみ
【第26回】症例編
その5 関節水腫
【第25回】症例編
その4 喘息
【第24回】症例編
その3 五十肩
【第23回】症例編
その2 耳鳴り
【第22回】症例編
その1 ぎっくり腰
【第21回】症状とツボ
その20 坐骨神経痛
【第20回】症状とツボ
その19 頸椎症
【第19回】症状とツボ
その18 小児の症状(2)
【第18回】症状とツボ
その17 小児の症状(1)
【第17回】症状とツボ
その16 精神的な症状
【第16回】症状とツボ
その15 泌尿器の症状
【第15回】症状とツボ
その14 呼吸器の症状
【第14回】症状とツボ
その13 口・のどの症状
【第13回】症状とツボ
その12 自律神経症状
【第12回】症状とツボ
その11 耳・鼻の症状
【第11回】症状とツボ
その10 女性特有の症状
【第10回】症状とツボ
その9 五十肩・テニス肘
【第9回】症状とツボ
その8 手足の症状
【第8回】症状とツボ
その7 消化器症状
【第7回】症状とツボ
その6 冷え性
【第6回】症状とツボ
その5 便秘
【第5回】症状とツボ
その4 膝痛
【第4回】症状とツボ
その3 腰痛症
【第3回】症状とツボ
その2 頭痛・頭重感
【第2回】症状とツボ
その1 眼精疲労 肩こり
【第1回】鍼灸について

いさはやWEB情報室の見方・楽しみ方
▲ページTOP

Copyright(c) Isahaya the chamber of commerce and industry. All rights reserved.
サイト内の画像・文章等の無断転載・複製を禁止します。