岩下登の健康のツボ 〜疲労回復や健康維持に役立つ方法〜
 

第8回 症状とツボ 〜その7 消化器症状〜

 明けましておめでとうございます。年末・年始と雪と寒さで大変でしたね。みなさまはどのように過ごされたでしょうか?私の周りでは「寝正月」という声が多く聞かれました。それと比例して「正月太り」という声も…。いつもよりお酒を飲んだりご馳走を食べ過ぎたりした方も多いのでは?雪で外出できず、ごろ寝していた…なんて方もいらっしゃるでしょう。七草がゆという古くからの体をいたわる風習と共に、ツボ押しもしてみてはいかがでしょうか?

前々回、『便秘』でご紹介したツボ以外にも胃腸に関するツボはあります。それらのツボを含めて、今回は「主に胃の症状に使われるツボ」と「主に腸の症状に使われるツボ」とに分けてご紹介したいと思います。 また、肝臓に関係するツボもご紹介したいと思います。
《注意》激しい嘔吐や下痢は細菌やウイルスによる感染性の胃腸炎の可能性があります。その場合はすみやかに病院へ受診してください。

〜 ツ ボ の 押 し 方 ( 全 ツ ボ 共 通 ) 〜

 押す力の強さは「気持ちがいいと思える強さ」にします。強弱は好みがあると思いますが、強ければよいというものではありません。部位によって使用する指を記載しています。押しやすさと指による力加減を考慮しています(力の強さ…親指>人差し指>中指>薬指)。 すべてツボは、ゆっくり息を吐きながら5秒ほど押し、息をゆっくり吸いながら5秒ほどかけて指の力を抜いてください。これを一ヶ所5〜10回を目安に繰り返してください。体調によって回数を加減した方がよいでしょう。リラックスして押してくださいね。

※ツボは、「反応点(症状が現れる点)」でもあり、治療点でもあります。触っただけでも痛みを感じる場合は、「実証」と言い、不必要な気・血・水が滞っている状態で、このような場合はさするだけで十分です。痛みをこらえて押すと逆効果です。逆に、押して気持ちがいい場合は「虚証」であることがおおく、これは必要な気・血・水が不足している状態と考えられます。この場合は、上記のツボの押し方を実践してください。

主に胃の症状に使われるツボ

●中カン(ちゅうかん) 中カン
ツボの取り方:みぞおち(左右の肋骨のまん中にある太い骨の下端)とおへそを結んだ線の中心点に取ります。
押す指:中指
※お腹のツボは軽く押してください。決して強く押さないでください。
●足三里(あしさんり) 足三里
ツボの取り方…膝を軽く曲げ、膝蓋骨の上縁(逆三角形の底辺にあたる部分)に同側の親指を沿わせます。残りの4本の指を、親指と人差し指が直角になるように置きます。中指があたるところに取ります。
押す指 : 中指
※このツボは松尾芭蕉が旅の最中にお灸をすえたことで有名なツボです。足にありますが胃腸の調子を整えるのにとても有効なツボでもあるため、足の疲れをとるという意味だけでなく、長い道中で水あたりや食あたりを防ぐ意味でも使われたと考えられています。
●胃兪(いゆ) 胃兪
ツボの取り方:第12胸椎の下から指2本分外側に取ります。
※第12胸椎=第3回『腰痛症』で説明した第4腰椎の4つ上にある骨。胸椎の一番下にあたるのが第12胸椎で、その下の第1腰椎と大きさが違い、小さいのが胸椎です。
押す指:親指
●陽陵泉(ようりょうせん) 陽陵泉
ツボの取り方:足の外くるぶしからまっすぐ上に骨をなで上げると、丸い突起の下で指が止まります。そこに取ります。
押す指:中指

主に腸の症状に使われるツボ

●大巨(だいこ) 大巨
ツボの取り方:おへそから指3本分外側へ行き、その点からまっすぐ下へ指3本分下ったところに取ります。
押す指:中指
●大腸兪(だいちょうゆ) 大腸兪
ツボの取り方:第4腰椎の直下(第4腰椎とその下の第5腰椎の間)から指2本分外側に取ります。背骨に添ってある筋(脊柱起立筋と言います)の丸みのほぼてっぺんになります。
押す指 : 親指
●天枢(てんすう) 天枢
ツボの取り方:おへそから指3本分外に取ります。
押す指:中指

肝臓に関係するツボ

●期門(きもん) 期門
ツボの取り方:みぞおちから一番下に触れる肋骨に沿って指をなで下ろし、乳首からまっすぐ下におろした線との交叉部に取ります。
押す指:中指
●肝兪(かんゆ) 肝兪
ツボの取り方:第9胸椎の下から指2本分外側に取ります。
押す指:親指(誰かに押してもらってください。あまり強く押しすぎないように)
●中封(ちゅうほう)  
ツボの取り方:内くるぶしのてっぺんから足首のまん中の方へ指をなで下ろし、細いスジと内くるぶしの間にできたくぼみに取ります。
押す指:人差し指
 新年会などでまだまだ飲み会が続く方もいらっしゃることでしょう。胃腸や肝臓をお休みさせてあげる日もつくってくださいね。
 お世辞でもいい世の中だとは言えない昨今、天候まで変化が激しく体調も崩しやすい時期でもあります。ツボを押して、温めて、健康で笑顔で、自分らしい1年のスタートにしてください。
 次回は『手足の症状(疲れやこむら返りなど)」をご紹介します。

岩下 登 (岩下鍼灸院 院長)
著者

岩下鍼灸院 院長
岩下 登

Noboru Iwashita


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【第26回】症例編
その5 関節水腫
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