岩下登の健康のツボ 〜疲労回復や健康維持に役立つ方法〜
 

第9回 症状とツボ 〜その8 手足の症状〜

こんにちは、岩下です。とても寒かった1月。やっと寒さもゆるんで春の気配がちらほら感じられるようになった2月。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
  私事ではありますが、治療室のカーテンを障子に変えました。太陽の光がやわらかくなり、患者さんからも「癒される」と好評です。古くからの日本人の知恵、改めて良いものだと感じている今日この頃です。

肩こり・腰痛・膝痛と、患者さんが主に訴えられる症状に隠れて、比較的多いのが手足の症状です。治療を繰り返していくうちに「先生、実は…」と患者さんが申し訳なさそうにおっしゃることがほとんどです。指の節々が痛い・伸びない、腕がだるい・疲れやすい、手がしびれる、足がつる(こむらがえり)など様々です。
今回はそのような症状へ効果があるツボをご紹介します。

〜 ツ ボ の 押 し 方 ( 全 ツ ボ 共 通 ) 〜
 押す力の強さは「気持ちがいいと思える強さ」にします。強弱は好みがあると思いますが、強ければよいというものではありません。部位によって使用する指を記載しています。押しやすさと指による力加減を考慮しています(力の強さ…親指>人差し指>中指>薬指)。
  すべてツボは、ゆっくり息を吐きながら5秒ほど押し、息をゆっくり吸いながら5秒ほどかけて指の力を抜いてください。これを一ヶ所5〜10回を目安に繰り返してください。体調によって回数を加減した方がよいでしょう。リラックスして押してくださいね。
※ツボは、「反応点(症状が現れる点)」でもあり、治療点でもあります。触っただけでも痛みを感じる場合は、「実証」と言い、不必要な気・血・水が滞っている状態で、このような場合はさするだけで十分です。痛みをこらえて押すと逆効果です。逆に、押して気持ちがいい場合は「虚証」であることがおおく、これは必要な気・血・水が不足している状態と考えられます。この場合は、上記のツボの押し方を実践してください。

手の症状

●労宮(ろうきゅう) 労宮
ツボの取り方:手のひらの中央で、指を曲げたとき中指の頭が当たる部分に取ります。
押す指:反対の親指
●陽池(ようち) 陽池
ツボの取り方:手首を手の甲の方へ曲げたときにできる横線の中央に取ります。
押す指:反対の親指
●手三里(てさんり) 手三里
ツボの取り方:ひじを曲げたときにできる横線の外端から指3本分手首の方へ下がった所に取ります。その周辺に指をあて、手首を手の甲の方へ動かすと筋肉の動きがわかります。
押す指:反対の中指
※手首を動かしながらツボを軽く押すやり方もお勧めです。
●孔最(こうさい) 孔最
ツボの取り方:手のひらを上に向けてひじを曲げ、ひじのまん中に出てきたスジの外側にできたくぼみから親指の方へ指4本分下がった所に取ります。
押す指:反対の中指
●外関(がいかん) 外関
ツボの取り方:手首を手の甲側に曲げた時。手首にできる横線のまん中から指三本分上がったところに取ります。
押す指:反対の人差し指

足の症状

●殷門(いんもん)  
ツボの取り方:太もも後面の中央に取ります。
押す指:両手中指
※坐骨神経の経路上にあります。自分で押す場合は、座って膝を軽く曲げ、両手で太ももを包むように持ち、中指をツボに当てて、軽く持ち上げるようにしてください。痛みを感じない程度で行いましょう。
●承筋(しょうきん) 承筋
ツボの取り方:ふくらはぎの中央で、ふくらはぎの高まりのてっぺんに取ります。
押す指:反対の手の親指
●承山(しょうざん) 承山
ツボの取り方:かかとからアキレス腱の上をふくらはぎの方へなで上げたとき指が止まる所に取ります。
押す指:反対の手の親指
●湧泉(ゆうせん) 湧泉
ツボの取り方:足の裏で、足の指を曲げたとき、中指の付け根から指2本分のところにできるくぼみに取ります。
押す指:親指
●足三里(あしさんり) 足三里
ツボの取り方…膝を軽く曲げ、膝蓋骨の上縁(逆三角形の底辺にあたる部分)に同側の親指を沿わせます。残りの4本の指を、親指と人差し指が直角になるように置きます。中指があたるところに取ります。
押す指 : 中指
※このツボは松尾芭蕉が旅の最中にお灸をすえたことで有名なツボです。足にありますが胃腸の調子を整えるのにとても有効なツボでもあるため、足の疲れをとるという意味だけでなく、長い道中で水あたりや食あたりを防ぐ意味でも使われたと考えられています。


◎手足の爪の付け根を指でつまんで軽く揉むのもお勧めします。
  これからは「三寒四温」で、寒かったり暖かかったりの繰り返しでしょう。この時期は体が疲れやすく、体調も崩しやすい時期です。また、人事異動などで忙しい方もいらっしゃることでしょう。疲れを感じたとき、休憩中などにツボを押してリラックスしてください。
  次回は『五十肩、テニス肘』をご紹介します。


岩下 登 (岩下鍼灸院 院長)
著者

岩下鍼灸院 院長
岩下 登

Noboru Iwashita


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