岩下登の健康のツボ 〜疲労回復や健康維持に役立つ方法〜
 

第10回 症状とツボ 〜その9 五十肩・テニス肘〜

こんにちは、岩下です。始めに、東日本大震災でお亡くなりになった方々へご冥福をお祈りし、被害に遭われた方々へ心よりお見舞い申し上げます。  大震災で被害に遭われた方々が毅然としていらっしゃる姿をテレビで見て、心が締め付けられる想いをしつつ、“元気を出して頑張ろう”と自分の奮い立たせている、今日この頃です。東北・関東の皆さんを応援するためにも、私達が元気で、いつも通りの生活をし、復興へ末永く貢献できるようにしたいですね。

 五十肩とは、病院では「肩関節周囲炎」と言われ、一般的に50代前後に発症することが多いことから「五十肩」と呼ばれています。もちろん、20代・30代でも、60代以降でも起こる可能性はあります。肩関節を構成する筋・関節包の炎症性疼痛で、原因としては使い過ぎや加齢による退行性変化(筋力の衰えなど)が考えられます。
  症状は、肩・腕の痛みと運動制限です。患者さんは「肩が痛くて腕を上げられない」、「手を後ろに回せない」、「肩の痛みで夜中に目が覚める」と訴えることが多いです。
  テニス肘とは、病院では「上腕骨外側上顆炎」または「上腕骨内側上顆炎」と言われ、テニスのようにラケットを使用する人に多発することから「テニス肘」と呼ばれています。
  症状は、肘の関節の外側や内側で、丸く骨が触れる部分の痛みです。スポーツと関係ない人でも、肘の関節の曲げ伸ばしをくり返す作業をよくする人は起こりやすい傾向があります。筋力の弱い女性で、毎日繰り返す家事で発症することも多く、肘をひねる動きで痛みが増強します。

〜 ツ ボ の 押 し 方 ( 全 ツ ボ 共 通 ) 〜
 押す力の強さは「気持ちがいいと思える強さ」にします。強弱は好みがあると思いますが、強ければよいというものではありません。部位によって使用する指を記載しています。押しやすさと指による力加減を考慮しています(力の強さ…親指>人差し指>中指>薬指)。
  すべてツボは、ゆっくり息を吐きながら5秒ほど押し、息をゆっくり吸いながら5秒ほどかけて指の力を抜いてください。これを一ヶ所5〜10回を目安に繰り返してください。体調によって回数を加減した方がよいでしょう。リラックスして押してくださいね。
※ツボは、「反応点(症状が現れる点)」でもあり、治療点でもあります。触っただけでも痛みを感じる場合は、「実証」と言い、不必要な気・血・水が滞っている状態で、このような場合はさするだけで十分です。痛みをこらえて押すと逆効果です。逆に、押して気持ちがいい場合は「虚証」であることがおおく、これは必要な気・血・水が不足している状態と考えられます。この場合は、上記のツボの押し方を実践してください。

五十肩

※急性の症状(急に腫れた・熱感がある・急に激しい痛みが出たなど)が見られた場合は強く押したり動かしたりしないでください。痛む部分の安静と冷却が必要です。痛みが出始めて3日から1週間くらい経過したら慢性期に入ったと判断していいので、温めたり動かしたりしてください。冷やすのはお勧めできません。
●肩ぐう(けんぐう) 肩ぐう
ツボの取り方:肘を伸ばした状態で腕を横に90°挙げたとき、腕の付け根にできるくぼみに取ります。
押す指:反対の中指
●肩りょう(けんりょう) 肩りょう
ツボの取り方:腕の付け根に触れるアーチ状の骨の後端にある角の下に取ります。
押す指:反対の中指
●天宗(てんそう) 天宗
ツボの取り方:肩甲骨のほぼ中央に取ります。
押す指:反対の中指
※手首を動かしながらツボを軽く押すやり方もお勧めです。

その他、肩こりのツボ(第1回参照)も一緒に押してください。
※慢性の症状では動かすことがとても大切です。痛いからといって動かさずにいると、関節が固まってしまう可能性がとても高くなります。関節は動かすことで関節の周囲の組織に栄養が行き届く仕組みになっています。温めると動かしやすくなりますので、ホットパックやお風呂を活用し、温めた後、肩の関節を広げるイメージでゆっくりと回してみましょう。また、うずくような痛みが出たときは、血液の流れが悪くなったサインなので、息を吐きながら、動く範囲で腕を回してください。しばらくすると楽になります。
※ホットパックが無い場合、濡らしたタオルやコンニャクを袋に入れて、電子レンジで温め、乾いたタオルや手ぬぐいで包むととても良いホットパックになります。
※痛い方の腕をどうしても自力で動かせない場合、タオルや腕の長さくらいの棒を両手で持ち、痛みが無い方の腕で痛い方の腕をゆっくり引っ張ってみてください。

テニス肘

〈外側上顆炎〉
●肘りょう(ちゅうりょう)
肘りょう
ツボの取り方:肘を少し曲げた状態で、肘のくぼみにできる横線の外端から後ろ斜め上に指を沿わせると丸く出っ張っている骨が触れます。その骨の上際に取ります。

押す指:反対の中指
その他、曲池・外関(第6回参照)、陽池・手三里(第8回参照)も治療点です。

〈内側上顆炎〉
●少海(しょうかい)
少海
ツボの取り方:肘を少し曲げた状態で肘のくぼみにできる横線の内端に取ります。
押す指:反対の親指で軽く押す (強く押すとものすごく痛みます)
●天井(てんせい) 天井
ツボの取り方:肘を軽く曲げた状態で、肘のてっぺんから指2本分上に取ります。
押す指:反対の中指


どちらの疾患も黙っていては治りません。一日でも早く治療を始めることをお勧めします。
次回は『女性特有の症状』についてご紹介します。 


岩下 登 (岩下鍼灸院 院長)
著者

岩下鍼灸院 院長
岩下 登

Noboru Iwashita


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