岩下登の健康のツボ 〜疲労回復や健康維持に役立つ方法〜
 

第19回 症状とツボ 〜その18 小児の症状2〜

 みなさん、こんにちは。岩下です。
 梅雨に入り、体調管理や食中毒の予防と大変な時期になりました。熱中症にもかかりやすい時期ですので、十分注意して元気に過ごしましょう!

 今回は「アトピー性皮膚炎」と「夜尿症(おねしょ)」を取り上げます。
 アトピー性皮膚炎は、多くの方がご存じの通り、アレルギー性の皮膚炎で、全身に起こります。アトピー性皮膚炎の症状には、かゆみや皮疹です。乳児では2ヵ月以上、幼小児・成人では6ヵ月以上症状が続くとアトピー性皮膚炎と診断されます。暖まったりするとかゆみが増し、かきむしって傷ができ、細菌やウイルスに感染して皮膚の状態が悪化してしまうのがアトピー性皮膚炎の一番の悩ましい点でしょう。アレルギーは遺伝的な要素に環境因子が加わって起こるとされています。
 夜尿症〈おねしょ〉もご存じの通り、寝ている間に排尿してしまうことです。成長過程で治っていきますが、個人差があります。まれにホルモンのバランスの崩れなど、病院での治療が必要なこともあります。

〜 ★小児のツボの刺激法★ 〜
 小児のツボは、皮膚の表面に存在します(加齢と共にツボが深部になります)。ですから、小児に対するツボの刺激は、「さする」が原則です。赤ちゃんや幼児は優しく擦ってあげてください。幼稚園児や小学生は、乾いたタオルを指に巻いて軽く擦ったり、つま楊枝を10本くらいまとめてゴムで止め、持ち手の方(とがっていない方)で軽く叩いたりしてあげるのも良いでしょう。刺激した部分の皮膚が軽く赤みをおびるくらいで十分です。決して強く刺激しないでください。
 大切なのは、子供が「心地よい」と感じ、長く継続できることです。1回の時間はそんなに長い時間は必要ないので、スキンシップをとりながら、仲良くやってください。毎日続けることで、普段は気付かない子供のサインを見つけるきっかけにもなりますよ。
 また、ドライヤーの「弱」でツボを温めることも良いでしょう。
 

共通するツボ

●鳩尾(きゅうび)  

ツボの取り方:いわゆる「みぞおち」の部分で、胸のまん中にある太い骨の下端に取ります。

鳩尾
 
●天枢(てんすう)  
ツボの取り方:おへそから指3本分外に取ります。 天枢
 
●水分(すいぶん)  
ツボの取り方:おへそから指2本分上に取ります。
水分

 

●身柱(しんちゅう)
ツボの取り方:「きをつけ」の姿勢で、肩甲骨(背中に左右ある逆三角形の平たい骨)の左右の内上角を結んだ線と、背骨の交叉した点にあたるのが「第3胸椎」となります。その骨とそのすぐ下の骨(第4胸椎)との間にあるくぼみに取ります。
身柱
 
●命門(めいもん)
ツボの取り方:下記第4腰椎のひとつ上(第3腰椎)と、もうひとつ上(第2腰椎)の間にあるくぼみに取ります。
※第4腰椎=直立し、左右の腰骨の一番高い部分に人差し指を置き、後ろにまっすぐ親指を伸ばしたとき、背骨で親指があたるところ。
命門
 
●関衝(かんしょう)  
ツボの取り方:手の薬指の爪の付け根で、小指側に取ります。
※このツボは軽くつまんでもんであげてください。
関衝
 

アトピー性皮膚炎のかゆみを抑える

●列缺(れっけつ)  
ツボの取り方:手首で脈が触れるところに中指を置き、中指に沿って人差し指を置きます。その人差し指があたる部分に取ります。 列缺
 
●合谷(ごうこく)  
ツボの取り方:手の甲で、親指と人差し指の骨の付け根が交わるところに取ります。 合谷
 
●曲池(きょくち)  
ツボの取り方:肘を曲げたときにできる横線の外端に取ります。 曲池
 

夜尿症

●中極(ちゅきょく)  
ツボの取り方:おへそと恥骨を結んだ直線上で、恥骨の上際から指2本分上に取ります。 中極
 
●腎兪(じんゆ)  
ツボの取り方:第4腰椎より骨2つ上が第2腰椎となります。その直下(第2腰椎と第3腰椎の間)から指2本分外側に取ります。このツボも脊柱起立筋の丸みのてっぺんにあります。 腎兪
 
●太谿(たいけい)  
ツボの取り方:足の内くるぶしのてっぺんとアキレス腱の中間点に取ります。 太谿
 
 

 アトピー性皮膚炎でかきむしって感染が疑われる場合は、すみやかに皮膚科の先生に診てもらいましょう。そうでない場合はどうぞツボを活用したり、鍼灸師にもご相談ください。
 夜尿症(おねしょ)を見つけた時はカッとなりやすいですね。でも、やってしまった本人のショックも大きいことでしょう。叱ると子供がストレスを感じ、なかなか治らない原因のひとつになることもあります。寝る前にツボをさすったり温めたりして、コミュニケーションをとってみてください。きっと子供さんもリラックスできることでしょう。
 お忙しい親御さんも、毎日5分だけ、ツボの刺激をしながらスキンシップをはかってみてはいかがでしょうか…?
 次回は「頸椎症」をご紹介します。


岩下 登 (岩下鍼灸院 院長)
著者

岩下鍼灸院 院長
岩下 登

Noboru Iwashita


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