岩下登の健康のツボ 〜疲労回復や健康維持に役立つ方法〜
 

第20回 症状とツボ 〜その19 頸椎症〜

 こんにちは、岩下です。
 毎日とっても暑いですねぇ。天候の変化も急激で、日本各地で大雨の被害や落雷による被害が起こっています。長崎もいつそのような被害に襲われるかわかりませんので、情報収集を怠らずに、いざという時に備えておいた方が良いようですね。
 残暑も厳しいようですので、体調にも気をつけてくださいね。

 頸椎とは、簡単に言うと首の骨です。この頸椎は7個の骨が縦にならんで棒状になっています。少し前彎(ぜんわん:前に弓状に曲がること)しています。一番上で頭蓋骨につながっている骨を環椎(かんつい)、その下を軸椎(じくつい)といい、この関節部分が最も大きく動き、首を振ったりうなづいたりできるのは、これらの関節が円滑に動くからです。
 今回取り上げる「頸椎症」で関係する頸椎は、第4〜7頸椎となります。これらの関節の間から腕の神経が出ています。つまり、「頸椎症」は、この出口の部分が何らかの原因で狭くなり、神経が圧迫され、腕の痛みやしびれが出現する病気なのです。
 腕の大きな神経は3つあります。
 ・橈骨神経(とうこつしんけい):第4・5頸椎の間から出て、肩から肘までは後ろ側を通り、肘から指までは手の甲の親指から中指までを通ります。
 ・正中神経(せいちゅうしんけい):第5・6頸椎の間から出て、橈骨神経と同様に肘まで下り、肘から指までは手のひら側の親指から薬指までを通ります。
 ・尺骨神経(しゃっこつしんけい):第6・7頸椎の間から出て、上記2神経とは少し違う部分を通り、肘から指までは、手の甲の薬指と小指、手のひら側の小指を通ります。肘をテーブルなどで打った時に“ジーン”とするのはこの神経です。

〜★ツボの押し方(全ツボ共通)★〜
押す力の強さは「気持ちがいいと思える強さ」にします。強弱は好みがあると思いますが、強ければよいというものではありません。
部位によって使用する指を記載しています。押しやすさと指による力加減を考慮しています(力の強さ…親指>人差し指>中指>薬指)。
すべてツボは、ゆっくり息を吐きながら5秒ほど押し、息をゆっくり吸いながら5秒ほどかけて指の力を抜いてください。これを一ヶ所5〜10回を目安に繰り返してください。体調によって回数を加減した方がよいでしょう。リラックスして押してくださいね。

※ツボは、「反応点(症状が現れる点)」でもあり、治療点でもあります。触っただけでも痛みを感じる場合は、「実証」と言い、不必要な気・血・水が滞っている状態で、このような場合はさするだけで十分です。痛みをこらえて押すと逆効果です。逆に、押して気持ちがいい場合は「虚証」であることが多く、これは必要な気・血・水が不足している状態と考えられます。この場合は、上記のツボの押し方を実践してください。

 

共通するツボ

●肩井(けんせい)  

ツボの取り方:頭を前に倒したとき、首の後ろで一番出っ張っている骨と肩の外端を結んだ線の中間点に取ります。
押す指:反対側の人差し指or中指

肩井
 
●曲垣(きょくえん)  
ツボの取り方:肩甲骨の内上角の部分に取ります。
押す指:反対側の人差し指or中指
曲垣
 
●肩りょう(けんりょう)  
ツボの取り方:腕の付け根に触れるアーチ状の骨の後端にある角の下に取ります。
押す指:反対の中指
肩りょう

 

●天宗(てんそう)
ツボの取り方:肩甲骨のほぼ中央に取ります。
押す指:反対の中指
天宗
 

第4・5頸椎

●手三里(てさんり)
ツボの取り方:ひじを曲げたときにできる横線の外端から指3本分手首の方へ下がった所に取ります。その周辺に指をあて、手首を手の甲の方へ動かすと筋肉の動きがわかります。
押す指:反対の中指
手三里
 
●合谷(ごうこく)  
ツボの取り方:手の甲で、親指と人差し指の骨の付け根が交わるところに取ります。
押す指:反対側の親指(人差し指の骨に向けて押す)
合谷
 
●外関(がいかん)  
ツボの取り方:手首を手の甲側に曲げた時。手首にできる横線のまん中から指三本分上がったところに取ります。
押す指:反対の人差し指
外関
 
●陽池(ようち)  
ツボの取り方:手首を手の甲の方へ曲げたときにできる横線の中央に取ります。
押す指:反対の親指
陽池
 

第5・6頸椎

●孔最(こうさい)  
ツボの取り方:手のひらを上に向けてひじを曲げ、ひじのまん中に出てきたスジの外側にできたくぼみから親指の方へ指4本分下がった所に取ります。
押す指:反対の中指
孔最
 
●げき門(げきもん)  
ツボの押し方:手のひら側で、肘から手首までの中央に取ります。
押す指:反対の中指
げき門
 
●大陵(だいりょう)  
ツボの取り方:手のひら側で手首のまん中に取ります。
押す指:反対の人差し指
大陵
 
●労宮(ろうきゅう)  
ツボの取り方:手のひらの中央で、指を曲げたとき中指の頭が当たる部分に取ります。
押す指:反対の親指
労宮
 

第6・7頸椎

●天井(てんせい)  
ツボの取り方:肘を軽く曲げた状態で、肘のてっぺんから指2本分上に取ります。
押す指:反対の中指
天井
 
●少海(しょうかい)  
ツボの取り方:肘を少し曲げた状態で肘のくぼみにできる横線の内端に取ります。
押す指:反対の親指で軽く押す(強く押すとものすごく痛みます)
少海
 
●神門(しんもん)  
ツボの取り方:手首(手のひら側)にある横線の内端(小指側)で、肘から手首へ小指側をなで上げると、指が止まるところに取ります。
押す指:反対の親指
神門
 
 

 症状は点でなく線で現れると思います。ご自分で思い当たる所があったら、まずは冷やさないようにしてください。ご紹介したツボへのお灸(台座のついたお灸)もお勧めです。
 次回は「坐骨神経痛」をご紹介します。


岩下 登 (岩下鍼灸院 院長)
著者

岩下鍼灸院 院長
岩下 登

Noboru Iwashita


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