〜 ツ ボ の 押 し 方 ( 全 ツ ボ 共 通 ) 〜
押す力の強さは「気持ちがいいと思える強さ」にします。強弱は好みがあると思いますが、強ければよいというものではありません。部位によって使用する指を記載しています。押しやすさと指による力加減を考慮しています(力の強さ…親指>人差し指>中指>薬指)。
すべてツボは、ゆっくり息を吐きながら5秒ほど押し、息をゆっくり吸いながら5秒ほどかけて指の力を抜いてください。これを一ヶ所5〜10回を目安に繰り返してください。体調によって回数を加減した方がよいでしょう。リラックスして押してくださいね。
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※ツボは、「反応点(症状が現れる点)」でもあり、治療点でもあります。触っただけでも痛みを感じる場合は、「実証」と言い、不必要な気・血・水が滞っている状態で、このような場合はさするだけで十分です。痛みをこらえて押すと逆効果です。逆に、押して気持ちがいい場合は「虚証」であることがおおく、これは必要な気・血・水が不足している状態と考えられます。この場合は、上記のツボの押し方を実践してください。
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膝痛 膝痛も大なり小なり感じていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。当院にも膝が痛くて来院する患者さんは多くいらっしゃいます。原因は、加齢による筋力低下・体重増加・外傷など様々です。そして膝痛の主たる原因疾患として変形性膝関節症があり、これは女性に多く見られます。女性に多い理由は、女性ホルモンの減少が関係すると言われています。 腰痛と同様に、熱感や腫脹(はれ)など、急性の症状が見られる場合は冷却と安静が必要です。水腫(俗に水が溜まると言う状態)も、体から「膝をこれ以上動かさないで」というサインです。患部(膝)の安静が大切です。慢性の場合は温めること、特にこれからの寒くなる時期は保温が大切です。そして太ももの前面の筋肉の強化も効果的です。 |
●血海(けっかい) |
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ツボの取り方…膝を軽く曲げ、膝蓋骨(俗に膝のお皿という逆三角形の骨)を確認します。上内角を探し、その角から指3本分上に取ります。 |
押す指 : 親指or人差し指 |
●梁丘(りょうきゅう) |
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ツボの取り方…上記と同じように膝蓋骨を確認し、上外角を探します。その角から指3本分上に取ります。 |
押す指 : 親指or人差し指 |
●陰陵泉(いんりょうせん) |
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ツボの取り方…膝を軽く曲げ、足の内くるぶしからスネの内縁に沿って指を膝の方へなで上げ、指が止まるところに取ります。 |
押す指 : 反対側の中指 |
●足三里(あしさんり) |
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ツボの取り方…膝を軽く曲げ、膝蓋骨の上縁(逆三角形の底辺にあたる部分)に同側の親指を沿わせます。残りの4本の指を、親指と人差し指が直角になるように置きます。中指があたるところに取ります。
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押す指 : 中指 ※このツボは松尾芭蕉が旅の最中にお灸をすえたことで有名なツボです。足にありますが胃腸の調子を整えるのにとても有効なツボでもあるため、足の疲れをとるという意味だけでなく、長い道中で水あたりや食あたりを防ぐ意味でも使われたと考えられています。 |
●委中(いちゅう) |
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ツボの取り方…膝を軽く曲げ、膝の裏にできる横線のまん中に取ります。
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押す指 : 中指(両手で膝を包むように持ちながら、両手の中指で軽く押す) |
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《太もも前面の筋力を強くする運動》
○スクワット:両足を肩幅くらいに開き(指先はまっすぐ前に向ける)、両手は腰の後ろでつなぐ。この状態でまっすぐ前を向き、5秒ほどかけて息を吐きながらお尻をまっすぐ下に下ろす。5秒ほどかけて息を吸いながら起立の姿勢に戻す。初めは5回から、徐々に回数を増やしてください。
○スクワットが無理な方へ
@足あげ:仰向けに寝て、片足ずつ、膝を伸ばした状態で、かかとを床から15cmほど上げます。この状態で10〜15秒、息を吐きながらキープします。これを10〜15回を1セット、1日1〜3セット行います。足を上げ過ぎると太ももの運動にはなりませんので注意しましょう。
A座布団つぶし:仰向けに寝て、片足ずつ、膝のしたに座布団を二つ折りにして置きます。膝を伸ばした状態で、膝で座布団をつぶすように10〜15秒押します。これも足上げと同様に10〜15回、1日1〜3セット行います。
足上げも座布団つぶしも太もも前面の筋肉が堅くなっているのを確認してください。堅くなっていなければ足の上げ堅や座布団のつぶし方が違っている可能性があります。
筋力は簡単に強くなる物ではありません。継続することによって効果が現れます。また、現在の筋力を維持できることも効果のひとつです。年齢を重ねるごとに筋力は落ちていきます。60歳の筋力を65歳まで維持できたらすばらしいことなのです。「筋力がつかないから」と言ってあきらめるのはもったいないですよ。
【注意】継続しなければと思って、痛みがあるのに無理に運動することはやめてください。痛みがあるときはお休みするか回数を減らしてください。その時の膝の具合を見ながら、ご自分の体と相談しながら行ってください。痛みが強いときは治療することをお勧めします。
暑さで疲れた体が涼しくなってホッとするこの時期。体調を崩しやすい時期でもあります。体調に気をつけて、秋を満喫してください。
次回は『便秘』を取り上げます。 |
岩下 登 (岩下鍼灸院 院長) |